2017年2月9日 第6号

 今回は日本食、日常食卓にあがる日本の食事についてお話したいと思います。海外に住んでいると、「日本食とは寿司であり、日本人は毎日寿司を食べて生活している」と思っている人によく遭遇すると思います。実際には、寿司が食卓にあがるのは毎日ではなく、基本的にはご飯におかず、お味噌汁などを食べます。近年では欧米食が食卓にあがることが多いので、お米の代わりにパスタやパン、麺類やイモ類を使うことが多くなりました。そのため日本人の食生活も、本来の日本食スタイルから随分変わってしまいました。 

 往年から日本人は長生きできる人種であり、それを証明するかのように、日本では数多くの90〜100歳代の高齢者が近所に住んでいるのが当たり前でしたが、食生活の変化により、若い年代で他界する人が多くなっています。

 ここ最近、多くの芸能人が若い年代で他界したり、ガンを発症するニュースをよく目にされると思います。

 食生活の変化により、日本人の寿命が著しく短くなってきていることを少し理解していただけたでしょうか。

 逆に第2次世界大戦中は食糧難という事情もあり、40歳代が最高寿命でした。唯一栄養価の高い魚を捕りに行くことができる年齢層の人が少なかったため、魚を口にすることがなくなり、人間が十分に食べることもできない中では養鶏や牧畜も難しい時代で、結果、タンパク源となる食材を摂ることがあまりできなくなっていました。そのため野菜などを主に食べていましたが、主食であるお米もほとんど口にすることができず、栄養価の高い野菜を口にすることもほとんどなかったので、その当時の日本人の寿命はとても短いものでした。

 戦後になって、タンパク源となる食材が数多く街中にあふれ出し、それに加え主食のお米を存分に食べることができるようになり、炭水化物、たんぱく質、繊維質となる食材を、程よくまんべんなく食べることができるようになったので、平均寿命が40歳代から80歳代に延びました。ところが現在、栄養価を重視して食べていた頃とは違い、欧米食を取り入れることが多くなって、栄養素のバランスを崩すような食生活になり、また寿命が短くなってきているのです。寿命よりも深刻なのは、ガンや心臓病関連の発症で、病気で悩まされることが増えてきているのです。

 質素な食事が良いというわけではなく、毎日の食事でたんぱく質、炭水化物、繊維質がきちんと摂れているか、糖分や塩分、脂肪分を多く摂っていないかなど、日々の自己チェックを大切にして食事をされると良いでしょう。

 


草野明美 自然医学博士/Naturopathic Doctor

1989年にカナダオンタリオ州に父親の転勤で引越しをし、2002年にトロントにあるCanadian College of Naturopathic Medicine にて修業後、2年ほどバンクーバーの指圧学校で講師/カウンセラーとして自然治癒力の素晴らしさを教えていたが、日本でも同じことができないか一度帰国。その後日本で結婚、出産をし2013年7月に再度家族を連れてバンクーバーに戻ったあと、カルガリーMarket Mall内のNutrition Houseにてサプリメント健康アドバイザーとして勤務。現在は2児の母としてバンクーバーに在住。

 

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