2020年1月9日 第2号

 カナダはイラクに駐留しているカナダ軍を一時イラクから撤退することを7日に明らかにした。アメリカ軍によるイラクでのイランの司令官ガセム・ソレイマニ少将を殺害した事件を受け、アメリカとイランの緊張関係がイラクに駐留するカナダ軍の安全に影響するとの判断を下したとみられる。

 人数などの詳細は発表していないが、カナダ軍兵士の一部もしくは全部をクウェートに移動するという。

 カナダ軍ジョナサン・バンス将官は、国民に向けて中東の状況について声明を発表。声明文はカナダ軍の公式ツイッターに投稿された。その声明文によると、「これからの近い将来に、同盟国と北大西洋条約機構(NATO)計画に基づいて、カナダ軍兵士の一部は一時的にイラクからクウェートに移動することになった」とし、理由は「安全と治安を確保するため」としている。さらに、将来的にいつ頃イラクに戻り任務を再開するかについては、明確な予定は示しておらず、「状況による」としている。

 カナダ軍は現在イラクで約200人の兵士がNATOの一員として任務にあたり、イラクのイスラム国との戦いに備えてイラク軍兵士の訓練にあたっている。さらにイラク北部でも特別任務にあたっている。

 カナダ軍がイラクから撤退するという決定は、他のNATO同盟国の決定に追随するもので、ドイツ、クロアチア、ルーマニアが撤退を表明している。

 また一部の報道では、アメリカが同盟国にイラクから完全撤退する準備をするよう通達しているというイラク宛ての内部文書がリークされたとしている。同盟国にはカナダも含まれる。

 ジャスティン・トルドー首相は、自身のツイッターで中東状況についてドイツのアンゲラ・マルケル首相と電話会談したと発表した。

 ハルジット・サージャン国防相は5日にCTVの政治番組に出演し、アメリカがイラクへの空爆実施の詳細をカナダに通達していなかったことを明らかにした。カナダなどの同盟国がイラクに自国軍兵士を派遣しているにもかかわらず、イランのソレイマニ司令官殺害のためのバグダッド攻撃に関する詳細は知らされていなかったと語った。

 

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