2019年5月16日 第20号
ブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドのホテル内レストランで先週末、ノロウイルスによる集団食中毒が発生した。ちょうど日曜日の12日が母の日であったことから、多くの人がレストランに予約を入れていたものの、突然のキャンセルの連絡で対応に追われていた。
バンクーバーコースタル保健局(VCH)から閉鎖命令を受けたのは、同市ウェストミンスターハイウェイ沿いのシェラトンホテル内のハロルド・ビストロ(Harold's Bistro)と、同じ区画内のミノル・ブルバード沿いにあるヒルトンホテル内のケイブ・キッチン(Cavu Kitchen)。
同保健局によると、シェラトンホテルの調理関係者や清掃スタッフ、さらに滞在者などがノロウイルスによる食中毒症状を11日から訴えていたという。一方ヒルトンホテルの支配人サンジート・サダナさんは、同ホテルの滞在者には食中毒は発生していないと取材に答えている。
しかし同保健局は、ヒルトンホテルでも11日に調理場スタッフが体調を崩し早退していることを指摘。また同じ人物はその前日、シェラトンホテルに勤務していた。
両レストランとも週末は営業を中止、13日も閉鎖を続け徹底的な清掃を行ったほか、VCHの職員が現場の立ち入り検査を行った。
母の日のブランチのためにレストランを予約していたリック・ビッグスさんによると、レストランからは2〜3日営業停止するため予約はキャンセルになるという連絡だけだったという。また近所のホテル内レストランも同様に営業停止になっていると言われたが、その理由を問いただしても電話口の女性は答えられないの一点張りだったと付け加えている。これについてビッグスさんは、公共のレストランの利用者は、健康に関する危険性について知らされるべきだと指摘、事実を隠そうとしたホテル側の対応を非難している。
ノロウイルスは胃腸炎を引き起こすウイルスの一種。感染後1〜2日で胃のむかつきや吐き気を催すほか、下痢を伴うこともある。そのほかけいれんや悪寒、発熱することもある。症状は突然始まり2〜3日続くが、通常はその後回復に向かう。
ノロウイルスによる食中毒で嘔吐している人のそばにいた場合、空気中を舞う嘔吐物の飛沫を吸い込むことで、感染する危険性がある。そのほか流しなどの水回りに付着したウイルスはかなりの期間生きながらえるため、こうした場所の清掃が適切に行われていないことから感染するケースもある。