2019年3月21日 第12号
連邦政府は19日、来年度の予算案を発表した。今秋に総選挙を控え、広く薄く中間層を支援する選挙対策予算案となった。
住宅問題を解消する手段として、若者の住宅購入を支援するための予算が組まれた。住宅ローンの規制緩和などで初めて住宅を購入する若者を支援する。ただオンタリオ州トロントやブリティッシュ・コロンビア(BC)州バンクーバーの2大都市ではすでに住宅価格が高騰しすぎているため、これだけの支援では焼け石に水との批判も出ている。
他には転職やスキルアップのための支援や学生ローン返済緩和、退職年齢を過ぎても働き続ける低所得シニア向け政策などが盛り込まれている。
今秋の選挙を前に、中間所得層への支援を前面に押し出しているが、中でも最も有権者が多い年齢層がミレニアル世代と言われる現在の20代から30代にかけての世代と団塊の世代。住宅支援やシニア支援は、こうした年齢層をターゲットにしていると専門家は分析している。
ただ、今回の予算案が自由党政権の支持率にどれほど貢献するかは未知数。主な世論調査会社の結果では、現在支持率では保守党がリード、僅差で自由党が続き、離れて新民主党となっている。
自由党ジャスティン・トルドー政権は現在、SNCラバランスキャンダルで国民の信用を失いつつある。スキャンダルと支持率は必ずしも正比例しないが、この問題が長引けば選挙戦に影響することは間違いないだろうとみられている。
この日の予算案発表は、SNCスキャンダルの全容を解明しないまま、幕引きをしようとする自由党に反発した野党保守党が、ビル・モルノー財相の発表をヤジで妨害する一幕もあった。