2018年8月2日 第31号

 日露戦争さなかの1905年、韓国沖で沈没したロシア船には金塊が残されているとの噂を利用、韓国金融市場で詐欺を働いたとして、引き揚げを計画した会社に韓国当局の捜査がおよぶ事件が、韓国で話題になっている。

 詐欺事件は別として、このロシア船の捜索の技術面では、カナダの民間潜水艦が活躍していた。

 沈没したドミトリー・ドンスコイ号には、200トンに及ぶ金塊や金貨が積み込まれていたという噂が流れていた。もしその通りなら、その現在の価値は1320億USドルに及ぶ。

 この金塊を基に資金を募り、同艦の引き揚げを計画したのが、韓国のシンイル・グループ。同グループはドンスコイ号の捜索を、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーの水中探索専門会社、ナイッテコ(Nuytco)に依頼した。

 当初ドンスコイ号の捜索には、何週間かかかるものと予想されていたが、同船は捜索初日、シンイル・グループが捜索開始に指定した場所で発見された。ナイッテコの創始者で社長のフィル・ナイッテンさんによると、現地の捜索チームからは、金塊など財宝のようなものは何も発見されていないとの報告を受けていると取材に語っている。その一方で、見つけていないだけで、金塊が存在していないことが確認されたわけではないとも付け加えている。

 シンイル・グループの新社長チェ・ヨンソクさんは7月26日、韓国ソウルで記者会見を開いたが、金塊疑惑を糾弾する世論の重圧から前社長リュ・サンミさんが辞職したことを明らかにし、またシンイル・グループは金塊が存在するかどうかの確証を得ないまま沈没船の引き揚げプロジェクトを立ち上げ、民間から資金調達していたことを認め謝罪している。

 そんなシンイル・グループだが、ドンスコイ号を発見したナイッテコ社には、捜索費用全額を支払っていた。ナイッテンさんは、もし韓国政府がシンイル・グループに引き揚げを許可することになったら、同社は間違いなくプロジェクトに参加し続けるだろうと語っていた。

 

 

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