2018年1月25日 第4号

 スイスのダボスで開催されている世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席しているジャスティン・トルドー首相は23日、11カ国での環太平洋経済連携協定(CPTPP)に署名する意向を表明した。「今日東京で合意に達した協定は正しいものだ」と語り、カナダは国民の利益のために立ち上がり、次の世代のための安定した経済成長と質の高い雇用という我々の目的を達成する合意にこぎつけたと語った。

 オンタリオ州トロントではフランソワフィリップ・シャンパーニュ国際貿易相が記者会見し、CPTPPに合意することで、カナダが世界最大の貿易圏の一部になると参加への重要性を強調した。

 CPTPPには、カナダ、日本、オーストラリア、ブルネイ、チリ、メキシコ、マレーシア、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムが参加している。当初はアメリカ主導で進められたが、昨年1月にドナルド・トランプ大統領が就任後、CPTPP撤退を表明。協定自体が立ち消えになるとの予想もあったが、日本の主導で継続。今回の11カ国合意にこぎつけた。

 しかし国内では、北米自由貿易協定(NAFTA)に影響するのではないかと危惧する声が上がっている。同日ケベック州モントリオールでは、カナダ、アメリカ、メキシコの3カ国による6回目のNAFTA交渉が始まった。

 シャンパーニュ国際貿易相は、アメリカがカナダにとって最大貿易相手国であることに変わりはないと、アメリカも重要視するとの考えを強調したうえで、アメリカ一国に集中している輸出先を多角化し、南だけでなく、西も東も見ていくことがカナダにとって最適な方法と語った。

 これでカナダは昨年の欧州連合(EU)との自由貿易CETAに続いて、アジア・太平洋地域とも自由貿易協定を結ぶことになる。

 しかし一部の産業からは強い不満の声が噴出している。特に、自動車産業からはNAFTA交渉が始まったその日のCPTPP合意発表に「これ以上ばかげたタイミングはない」、「これまでで最悪の合意だ」との声が労働組合から上がっている。中国製部品を使った日本車が国内の自動車産業を衰退させるとも主張している。

 また、危機感を募らせている酪農業も保守党政権が約束した補償制度を実行するよう自由党政権に求めている。

 一方で、農業や林業はアジア市場に向け関税引き下げは産業の活性化につながると歓迎している。

 11カ国によるCPTPPは、人口約5億人、世界の国内総生産(GDP)約14パーセント、貿易額の約15パーセントを占める巨大自由貿易圏となる。

 

 

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