2017年12月21日 第51号
子供をチャイルドケアに預ける費用が急激に上昇していることが12日、カナディアン・センター・フォ・ポリシー・オルタナティブ(CCPA)が発表した報告書で明らかになった。
それによるとカナダ全体で3年前に比べて約10パーセントチャイルドケア料金が上がっているという。さらに都市によっては20パーセントも上がっているところもあり、子供を預けて働く世帯にとっての厳しい現実が浮き彫りとなった。
1カ月のチャイルドケア料金が最も高かったのはオンタリオ州トロント市で、2歳未満の乳児の場合は1758ドル、18カ月から3歳までは1354ドルとなっている。次いでブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー市で2歳未満は1360ドルと、この年齢では全国4番目だったが、18カ月から3歳までは1292ドルでトロントに次いで高い料金となっていた。
その他、BC州ではバーナビー、リッチモンドが両年齢層とも千ドル以上となっていた。両年齢層ともトップ10のほとんどをオンタリオ州とBC州の都市で占めていた。
一方、最も低い水準だったのはケベック州で、両年齢層でモントリオールが168ドル、ケベックシティが183ドルとトロントの10分の1だった。理由はケベック州政府が1990年代後半から導入している1日7ドルのデイケア料金制度で、現在でも1日7・75ドルで実施している。世帯所得が年間5万1千ドルを超えると料金が引き上げられる仕組みになっている。
CCPAによると、この数字も子供をデイケアに預けられた場合で、現状はデイケアが不足し、デイケアに預けることすら難しいと報告している。
BC州新民主党(NDP)は今年の選挙で1日10ドルのデイケアを実現すると公約に掲げたが、政権実現後はデイケア数の増加と料金引き下げ対策にトーンダウンしている。
CCPA代表は、高騰するデイケア料金が両親、特に母親の社会進出を拒んでいると指摘している。さらに、登録されていないデイケアに預けることを余儀なくされるため、州政府の基準に満たないデイケアでの事故も増える結果になっているとも語っている。
CCPAは全国主要28都市の登録済み正規デイケアを今年6月から10月まで調査。1カ月の料金は、その都市の中間料金を報告している。中間料金とは、その都市の真ん中にあたる料金で平均料金とは異なる。