2017年12月14日 第50号
サスカチワン州政府が4日、環境対策を発表した。連邦政府が発表した温室効果ガス排出に対する課税「炭素税(もしくは同等の課税政策)」に同調することを唯一強固に反対していたサスカチワン州政府による今回の独自対策に注目が集まった。
それによると、年間2万5千トンを上限として、それを超える温室効果ガスを排出した場合は、農業や森林業者から相殺分を購入するか、上限以下の企業から炭素クレジットを購入するか、州政府基金に支払わなければいけないという。
排出量に応じて課税する炭素税とは異なるものの、連邦政府が炭素税と同等の課税制度として認識しているキャップ&トレード制度に似ているが、サスカチワン州政府は今回の対策を炭素税ではないと強調している。
この日記者会見した同州ダスティン・ダンカン環境相は、炭素税ではなくそれ以上の効果がある対策と語り、経済成長を続けるには排出量増加が必要な企業もある、そうした企業に対して完全に排出量制限をしないという点ではキャップ&トレード制度とも異なる独自の制度を強調した。
しかし今回発表された対策には、州としての排出量削減目標や、今回の対策を実施することでどれほどの温室効果ガスが削減されるかなどの具体的な数字が記載されていないほか、交通手段や家庭用暖房、商業用・工業用エネルギー使用に伴う温室効果ガスなどの対策が含まれていないとの指摘が出ている。また州営の電力会社サスクパワーの発電について半分を再生可能エネルギーに変えると約束しているが、期限を定めていないなど不明な点が多い。
今回のサスカチワン州政府の発表について連邦政府キャサリン・マッケナ環境相は、連邦政府が導入する炭素税への第一歩として一定の評価をしている。ただ連邦政府が目指す広範囲にわたる対策という基準からすると、大量排出企業のみを対象とした今回の対策ではまだ不十分との認識も示している。
サスカチワン州の温室効果ガス排出量は、2017年カナダ・インベントリー・リポートによると2015年は約7500万トンで、前年より0・7パーセント減少していると報告されている。カナダ全体の排出量における同州の排出量は約10パーセントとなっている。