2017年10月19日 第42号
アルバータ州で行われた市町村選挙で、カルガリー市ナヒード・ネンシ市長が再選を果たし、3期連続を実現した。また市議も現職がほぼ当選。カルガリー市民は現状維持を選択した。
ネンシ市長の再選は五分五分とみられていた。対抗馬だったビル・スミス氏に勢いがあり、120万都市カルガリーの市民が変化を求めるのではとも予想されていた。
結果はネンシ市長11万2503票、スミス氏9万7756票。ネンシ市長は「最善を尽くして市民のために働きたい。市町としてカルガリー市民に尽くせるこの仕事が世界最高の仕事だ」と勝利宣言で語った。
今回の選挙では投票率58・1パーセントと約40年ぶりの高い水準となり、州民の関心が高かったことを示している。
ネンシ市長は北米の大都市では初のイスラム教徒の市長として注目された。2010年に初当選。2014年に再選を果たした。しかし同年夏から起きた原油価格の急落により、選挙当時はそれほどでもなかったが、その後アルバータ州全体の経済が大きく後退。カルガリー市も税制などの変更を余儀なくされ、今回の選挙での争点ともなっていた。
また市が提案したビクトリアパーク近辺での文化エンターテイメント地区開発について、同市を本拠地としているNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)カルガリー・フレームズやCFL(カナディアン・フットボール・リーグ)カルガリー・スタンピーダーズのオーナーが反対したことで、今回の選挙でも話題となった。
ネンシ市長の当選が決まるとフレームズのメディア担当ショーン・ケルソ氏が、ネンシ市長再選はアメリカでトランプ大統領が誕生したよりも最悪とツイート。すぐに削除されたが、市を代表するプロスポーツチームのメディア担当による個人を攻撃するツイートに批判の声が相次いだ。しかしフレームズはあくまでも個人的な意見であり、チームとしての見解ではない、個人は自身の意見を表現する権利を有すると今回の件で特に対応はしないことを発表している。