2017年3月2日 第9号
ブラジルからの留学生が、カナダに向かう時に空港で預けた荷物が、1カ月以上も行方不明になっている。
オンタリオ州トロントの中心部にあるOCAD大学の留学生ヘンリーク・アルベスデアシスさんは先月、故郷ブラジルの首都ブラジリアで冬休みを過ごしたあと、エアカナダでトロントに戻ってきた。
機内預け入れのスーツケースを最後に見たのは、乗り継ぎのシカゴ空港。だが1月19日にトロント・ピアソン空港に到着した時には、スーツケースは出てこなかった。以前にも同じような経験をしたアルベスデアシスさん、エアカナダの荷物係りに住所氏名、電話番号を伝え、紛失届けの伝票をもらい空港を後にした。
アルベスデアシスさんは、この大きなスーツケースに、彼が持っていたほとんどの洋服や靴のほか、大学の研究用に使用していたノートパソコンを入れていた。
それから1カ月、電話やネットのチャットでくり返し状況をたずねてきたが、何の進展もみられない。そこで彼はソーシャルメディアのツイッターで、状況を逐次更新し始めた。間もなく大学の学期末を迎えると、彼はまたブラジルに戻る。エアカナダは、スーツケースはタグがとれてしまった状態でシカゴ空港のどこかにあるらしいと、アルベスデアシスさんに説明しているという。
この件についてエアカナダ側は、現在も捜索中であり、今はまだ紛失に対する補償を話し合う段階ではないと、メディアの取材に電子メールで回答している。
しかしエアライン利用客の権利に詳しく、フェイスブックのグループ『エアライン利用客の権利(Air Passenger Rights Canada)』の共同創立者でもあるゲボール・ルーカスさんは、捜索中であるかどうかに関わらず、エアカナダはアルベスデアシスさんに補償する義務があると指摘する。
補償の観点からは、行方不明から21日が経った段階で荷物は紛失したとみなされる。そのため航空会社は、荷物の中身とスーツケースそのものに相当する額を所有者に補償しなければならないと、ルーカスさん。
しかし、その上限は約2千ドルだという。それに対しアルベスデアシスさんが必要なものを再び買い揃えるのに費やした額は、新しいノートブックパソコンを含め約5千ドルだったという。
エアカナダは、預け入れ荷物には電子機器のような貴重品や、持病のための薬などは入れないよう呼びかけている。