2017年1月1日 第1号

 バンクーバー市警、バンクーバー市長など関係機関トップが12月16日、揃って記者会見を開き、現在バンクーバー市が直面している薬物過剰摂取による死亡者激増の危機的状況を改善する対策が必要と訴えた。

 記者会見が行われた前夜、バンクーバー市では一晩で9人が薬物過剰摂取で死亡したとみられる事態が起こっている。その原因の一つがフェンタニルではないかとみられている。

 バンクーバー市警アダム・パーマー署長は、この町で1日で9人も薬物過剰摂取で死亡するという信じ難い事態に対して、これらの人を長期的に援助する計画が必要だと訴えた。市警によれば11月だけで35人がフェンタニルの過剰摂取で死亡しているという。2016年はこれまで(12月16日現在)に違法薬物で死亡したのは159人。その多くがフェンタニルが原因ということが分かっている。2015年は1年間で67人だった。

 バンクーバー市グレゴール・ロバートソン市長は、薬物過剰摂取者の治療のための対策が早急に必要との認識を語り、フェンタニル過剰摂取者急増という危機的状況は、治療に当たる救急隊などの現場にも大きな影響を与えているとして、BC州政府の協力も必要と緊急事態を訴えた。

 バンクーバー市はフェンタニル過剰摂取危機に対応するための予算を捻出するために、12月13日、固定資産税を0・5パーセント引き上げることを決定し、2017年から実施される。これにより税収は350万ドル増となり、緊急対応基金とし、医療的緊急事態に対応するとしている。

 バンクーバー・イーストサイドには、この緊急事態に対応するために3つ目のバンクーバー消防救急サービスの医療チームが配属された。

 

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