日本の種子島宇宙センターより、12日に打ち上げが予定されているX線観測衛星アストローH。この衛星は、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が米国航空宇宙局(NASA)やカナダ宇宙局、ヨーロッパ宇宙機関などと共同で開発を進めてきた観測衛星だ。

 カナダ宇宙局は、この衛星が宇宙のどの方角を向いているかを、レーザーを用い正確に計測する装置『カナディアン・アストローH・計測システム(CAMS)』の開発を担当。実際の装置を製作したのは、オンタリオ州カナタに本社を置くネプテック・デザイン・グループ社。

 このプロジェクトに、カナダの主席研究員として10年近く携わってきたセント・メアリー大学(ノバスコシア州ハリファックス)の教授で天文学者のルイジ・ギャロさんは、打ち上げに立ち会うために日本に向かった。ギャロさんはメディアの取材に対し、まるでクリスマスを待ち焦がれる子供のように興奮していると答えている。

 宇宙に存在する天体は様々な波長の光を放っているが、われわれが地上で観測できるのは可視光など、ごく一部に限られている。それ以外の光(X線など)を観測することで、銀河の生い立ちや中性子星やブラックホールの周りの極限状態での物理法則を探ることができると言う。

 ブラックホールは周りのものを全て飲み込み、何も出てこられないというのが現在の定説だが、実は同時に多量の物質を吐き出しているのでは、とギャロさんはみており、今回のX線観測衛星がどんな新発見をもたらしてくれるのか、心待ちにしている。

 アストローHは打ち上げ後、機器の調整とテストを行い6カ月以内には観測を開始する予定。

 

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