対米ドルでカナダドル安が続く中、カナダの冬の国技ホッケーにも影響が出る可能性が出てきた。

 現在ナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)でチーム増加が計画されているが、その招致に名乗りを上げ、最終候補地として残っているケベックシティが苦境に立たされている。名乗りをあげたのはモントリオールに本社のあるテレコミュニケーション&メディア会社のケべコア。ファンの支持も高く、本拠地となるアリーナも確保し、昨年7月に手をあげた時点では順風満帆だったが、それから急激なカナダドル安が進み、現在1カナダドル70米セント前後となると、チーム招致のためにリーグに支払う5億米ドルの費用が6億8500万カナダドルにも膨れ上がる。

 ケベックシティには以前、ケベック・ノルディクスというチームが存在した。しかし、1995年カナダドル安などの影響で経営困難となりデンバーに本拠地を移し、現在のコロラド・アバランチとなった。

 熱狂的なホッケーファンの多いケベックシティにとってNHL復活は悲願。ようやく訪れたチャンスにまたしてもカナダドル安が立ちはだかる形となった。

 カナダドル安はカナダを本拠地とするスポーツチーム全体にも大きな影響を及ぼす。選手への支払いは米ドル建て、チケットやグッズ販売での収入はカナダドルと、両通貨の価値が開けば開くほどカナダにとっては厳しい状況となる。

 それでなくとも、今季のNHLはカナダ7チーム全てがプレーオフに進めないのではないかというほど精彩を欠く。プレーオフ出場がなければ、チームの収入も増えず、周辺地域も潤わず、という悪循環。カナダのスポーツ界にとっても厳しい時代に突入した。

 

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