イスラム教の女性の服装である、目の部分以外全身を覆うブルカを着ていたために入店を拒否されたアルバータ州エドモントンの19歳の女性が、それでもその店主を責めたりはしないと、メディアに話している。

 大学で心理学を専攻しているサリ・ガラブさんが、友人とともに同市北西部のショッピングセンター内にある靴修理店へ出向いたのは1月27日のことだった。彼女は2週間ほど前に、壊れたヒールの修理についてこの店に電話をしていた。電話に出た店長の対応は良く、修理は2〜3ドルでその日のうちに仕上がると説明してくれたと、ガラブさんは話している。

 しかしいざ彼女が店を訪れてみると、店長から出て行くように言われた。同行していた友人によれば、店長は「自分の道徳観念から、顔を見せない人物とは商売できない」とガラブさんに向かって言い、一歩たりとも店の中に入ることを拒否していたという。

 この対応に驚いた友人は、ガラブさんにショッピングセンターの責任者に苦情を申し立てるべきだと主張したが、ガラブさんはそうする代わりに店長宛の手紙を書くことにした。

 彼女は手紙に、ブルカを着ることが自分たちの文化の中では祖先を敬い自己啓発となるとともに、自分がイスラム教徒であることの誇りを表すことになると説明。そして店長の言葉で自分が傷ついたことは事実だが、迫害には優しさと思いやりで対応するのもイスラム教徒としての私のやり方であり、そうすることで彼がこの先、イスラム圏の人々に接する時には思いやりの心を持てるようになってほしいとつづった。

 ガラブさんはこの手紙に花束を添えて、1月30日に店を再び訪れた。しかし店長は再び彼女を店の外に追い出し、手紙も花束も受け取らなかった。

 この件に関してメディアから取材の依頼を受けた店長は、5000ドルの取材協力費とホテルでの取材会見を設けるよう要求してきたという。

 その一方で、ショッピングセンターの駐車場でメディアの取材を受けたガラブさんは、それでも店長の取った行動が責められたりすることは望んでいないと話していた。

 

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