夢いっぱいアイススケート

 先週一週間はぐんと冷え込んで、人びとも街の木々もすっかり真冬の装いになりましたね。朝の温度計は、マイナス8度を表示。辺り一面に霜が降りて、まるで雪が降ったかと錯覚するほどです。はるか遠くを望めば、今まさに降雪中という風情のライオンズや美しいゲレンデの帯を描くマウントシーモアがカナダの冬景色を完成しつつあります。スキー三昧だった学生時代を思い出し、あの山々に全身で飛び込みたい思いに駆られますが、スキーどころか雪も見慣れぬ5歳児ふたりを担って登山する漢気はありません。スキー教室に放り込む手もありますが、スキー靴から板からゴーグルまで一連のウェアを着用させたり、着用後のトイレなどを想像するだけで、スキーデビューはいつの日か大人の数が子どもの数を下回らない状況下でと決心を固めています。
 代わりに、ちょくちょくアイススケートでレジャーしています。中でもバンクーバーイーストのトラウトレイクアイスリンクは程よい空き加減が魅力で、補助台は常に一定数余っており、豪快に転んでも他の客のスケート靴が自分の手の上を横切る心配もありません。今週はトラウトレイクの湖面にもうっすら氷が張り、カルガモたちのスケートリンクになっていました。
 先日はフィギュアスケートのコンペティションが開催され、小学校高学年から高校生くらいのお姉さんたちの氷上の演技を至近距離で眺めることができました。ランチ持参で長居する予定だったのでもっこもこに着込んでいきましたが、アイスリンクの客席って暖房ぽかぽかなんですね。娘たちはお姉さんたちの演技はもちろん、衣裳やメイクにも興味津々。「私、日本に帰ったらフィギュアスケート習う!」とすっかりその気です。来週はPNEの「ディズニーオンアイス」鑑賞。今年のテーマは大好きなプリンセスベルにメリダにアリエルと言いますから、娘の夢をいっそう大きく膨らませること間違いありません。

公園は子どもパラダイス

「冬は雨ばかりでね……」とはバンクーバー住人の常套句ですが、今年は特別なのでしょうか、思い返してもハロウィン当日を含む3日ほどしか、ちゃんとした雨に降られた覚えがありません。たとえ降っても通り雨。バンクーバーレジャーの真骨頂は、年間を通して「公園遊びが楽しい」に尽きるのではないでしょうか。夏はサンクリームさえ塗れば、汗でべたつくことなく蚊に悩まされることもなく一日中だって気持ちよく過ごせます。日本でバンクーバーの夏が恋しくてたまらなくなることが目に見えています。
 季節の変わった現在も、3時のキンダー終了後、ランチルームでおやつを食べてから1時間ほど校庭で遊ぶのがルーティンです。娘の学校は校舎の東側に遊具スペースのある夏仕様で、夕方4時ともなれば校舎の陰が子どもたちを覆い尽くします。親たちが寒さに体を丸くする一方で、子どもたちは元気そのもの。気づけば脱ぎ捨てたコートがうんていの隅に引っかかっています。
 校庭や公園はいつだって子どもたちの大舞台。上級生とどんぐり拾いしたり、友達の友達も一緒に鬼ごっこしたりとたくさんの出会いがあります。だからこそ、「Can you play with me?」したのに返事してもらえなかったなどと傷つくこともたびたび。「もう○ちゃんとは遊ばない!」と私の前で宣言してみるものの、10分後には一緒にぶらんこで笑い合っていたり……。友達の心の広さや狭さを垣間見たり、自分の意地っ張りが楽しい気分を邪魔するのだと気づいたりする葛藤の場でもあります。このようにして子どもは成長していくんですね。
 先週の寒さはやはり体に堪えたらしく、娘の一人は熱を出してしまいました。油断は禁物、どうぞ皆さんもお気をつけください。

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2013年11月28日 第48号 掲載

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