楽観的なスタート

 昨年夏、思い立ってポンとカナダへやって来た時はノービザ、ビジターでした。とりあえずカナダで6カ月がんばってみよう、ノービザ期間が終わったらビジター延長申請しようと、ビザはきちんと手続きさえすれば取得できるものという認識でした。いざこちらで出会った日本人に聞くと、どうやら単純な話ではなさそう。特にバンクーバー滞在は移民局の厳しい目が光っており、中でもノービザからのビジター延長は相応の滞在理由がないと却下される可能性もあるとわかってきました。いったん帰国し再入国するつもりでしたが、空港で強制帰国させられた例も聞き、想像してはひえ~と震え上がるのでした。

私が学校へ通う?

  そんな折、「学生ビザで再入国したら?」と友人からの助言がありました。当初、私自身が学校へ通う計画はありませんでした。あくまで子どもの留学に付き添うのが目的で、予算の都合もあり留学エージェントを介さなかったほどです(エージェントの「親子留学プラン」はたいていESLとセットだった)。ただ私自身、語学力不足でプリスクールでのコミュニケーションにも不自由していたし、カナダ滞在を有意義にしたい思いもあります。
 気持ちを「学生」へと切り替えた私は、学校を紹介してもらうべく留学エージェントの無料相談を訪ねました。学生ビザ取得にはフルタイムでの受講が条件となります。親が公立大学に通えば子どもの公立学校費用は無料になるという耳より情報も聞きましたが、ひとまずプリスクール送迎に差し支えない午後にフルタイム受講できるESLを紹介してもらいました(該当校は一校のみ)。早速トライアルを受けてみると、イメージとはちょっと違い……。トライアルの最中、娘たちを託していたシッターさんにそんな経緯を話すと、「私が通っていた学校、見てみたら?」。そこは政府主宰の学校で授業料も格安の上にカリキュラム豊富、フルタイム受講のために授業を自在に組み合わせることも可能です。トライアルこそありませんでしたが、日本人カウンセラーと話して即刻、心は決まりました。エージェント担当者に連絡すると、「その学校は提携していないのでビザ申請もお手伝いできませんが、うまくいくといいですね」とあたたかい言葉をもらいました。
 学生ビザ申請は、安全策をとってビザコンサルティングに依頼しました。フィリピンへの書類郵送、子連れ滞在の目的を明記した手紙の同封、時間的余裕のなさ、却下される可能性……と大小の壁に立ち向かうにはあまりに心許なかったので。コンサルタントの指示通りに書類を揃え、助言のもとに作文すれば、見事なスムーズさで手続き完了。ビザ取得には1カ月半が目安と聞いており日本での待ちぼうけも覚悟していましたが、早3週間で返事がきました。念願の学生ビザ、それも想定以上の長期間で、娘たちも同期間のビジタービザを取得できるとのこと。正式なビザは再入国の際に空港のイミグレーションで発行されるようです。ホッとしたのも束の間、空港で一悶着ある図も頭をかすめ、気は抜けません。コンサルタントのアドバイスに従って「念のため」と用意していた戸籍謄本の英訳や夫の手紙が、まさに空港でものを言うことになるとは……。

最後の関門、ビザ延長

 こうして現在に至るまで私の学生ビザ&娘たちのビジタービザで滞在中ですが、この期限もまもなく切れようとしています。もう少しだけ居たいので、9月半ばにオンラインで滞在延長申請しました。帰りの航空券や思いを込めた手紙も添付し、きっと問題ないと信じてはいても、移民局ホームページで進捗状況をチェックしてはドキドキ過ごしていました。現時点でビジターのオンライン申請は50日かかると表示。処理中の日付は私の申請日に迫っておらず、この分だともうひと月かかるのではと踏んでいた今日、不意打ちで移民局からメールが届きました。「希望日までの滞在を許可します」という内容で。今回ばかりは胸を撫で下ろしました。カウントダウンに入ったビジター期間、お世話になった人の顔を思い浮かべながら、大切に日々過ごしていきたいと思います。

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2013年11月14日 第46号 掲載

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