日本語学校がバンクーバーとスティーブストンにしかなかった時代、バーナビーに住む日本人家族のために、久保谷信治氏が中心となって設立されたのがバーナビー日本語学校です。その後『移住者の会』の傘下に入り、JICA(日本国際協力事業団)の援助を得て、今日に至っています。
学校経営でなく、保護者会が運営とのこと。そのあたりの違いについて蛭田(ひるた)栄美子校長先生とベイリー氏江智子先生に聞いてみました。

保護者が運営
バーナビー日本語学校の特徴は、学校経営でなく保護者会が運営していることです。だから学校が提供する授業を受けるだけではなく、保護者の要望を取り入れ、保護者と教師が一体となって子どもの日本語学習をサポートしているのだそうです。小学科レベル7では光村の教科書4年上を終了。中学科3年では教科書6年下までの漢字の読み書き、読解までの力をつけることを目標としています。
小学科の授業があるのは水曜日の放課後。兄弟が同じ日の同じ時間に授業を受けられるのは、保護者にとって便利です。日本語の授業を水曜日にすることで土曜日があくというのは、週末に習い事やスポーツを入れられるという利点もありますね。

希望を取り入れた授業
学校では教科書を使った授業が1時間。後半の1時間は日本の歴史や地理などを学習しています。先生たちは生徒のバックグラウンド、人格、興味を考慮しながら各自の個性を活かして指導しています。だから生徒たちものびのびと学んでいる様子。ここでは先生たちの柔軟性、多様性も求められます。
日本語を話していても、英語が混じってしまう。そんなときは否定的な言い方ではなく「日本語も上手に話せるね」と褒めるような言葉がけをしているそうです。あまり細かく強制して日本語を勉強するのがいやになるというのも、困りますから。年齢を超えたつながり
年の始めには新年会が行われます。毎年の人気は『お餅の部屋』。あんこやきな粉など自分で選んで食べるお餅は最高です。この機会に羽根つき、コマまわし、芋版など、普段触れたことのない遊びを体験できるのも好評です。
また公立校の教室を借りて授業をしているため、4月にはコミュニティーへの恩返しを兼ねたバザーを開催。誰でも購入出来るテーブルでは、古本などが売られています。
こうした行事を通して、同じ環境で勉強している子どもたち同士がネットワークの輪を広げていきます。サマースクールでは毎年マリンパークでピクニックを行い、カニを取ったりスイカ割りをします。中学生や卒業生の参加も可能。年下の子どもたちと過ごすなかで、リーダーシップとボランティアの経験をします。一人っ子が多い時代、年齢を超えたつながりというのは大切なことではないでしょうか。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

バーナビー日本語学校(ロックデール校)
Lochdale Community School
6990 Aubrey Street, Burnaby, BC V5B 2E5
電話 604-931-6291 (ヒルタ先生)

 

2010年1月14日発行#03に掲載

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