バンクーバーのウエスト・フォースをずっと西に行くとジェリコ・ヒルがあります。この丘の一角にあるのがウエストポイントグレイ日本語クラスです。海も近く、緑あふれる広々とした敷地。無料パーキングがたくさんあるのもうれしいですね。

五感を使った直接体験
日本の小学校や幼稚園で教えた経験のある樫原博子先生が、家庭教師で日本語を教え始めたのは11年前。それから口コミで広がり、生徒さんが増えていったそうです。学校は毎日開いているので、毎日来る子や英語のプレスクール、幼稚園と組み合わせてくる子もいます。小学科は平日の夕方、現地校が終わったあとに授業をしています。
この学校では教育理念である『やる気』『思いやり』『創造性を伸ばす』を育てるために、五感を使った直接体験を重視しています。それはどういうことかというと、朝顔の種を蒔いて毎朝水をあげ、成長過程を児童たちに見せていくことなどです。季節ごとのフィールドトリップ(遠足)、手づくりおやつ、親子での体験学習も取り入れています。

手づくりおやつの日
幼児科と小学校低学年のクラスでは、月に1回手づくりおやつの日があります。訪れたこの日のメニューは『フルーツサンド』。まずは子どもたちに「フルーツは日本語で何でしょう」と聞き、「くだもの」と答えが返ってきたら、今度はそれぞれのくだものを見せて、イチゴ、バナナ、パイナップルと確認します。お母さんと日本語、お父さんと英語を話すという子どもが多いため、日本語のなかに英単語が入ったらそれを指摘するのでなく、聞き手がもう一度日本語にして「〜するんですね」と聞き返すことで、日本語の単語に気づいてくれるよう心がけています。
手づくりおやつをおいしく食べた後は、お片付け。お母さん手作りのぞうきんが学校に置いてあり、そのぞうきんで机を拭きます。手縫いや刺繍入りなど、お母さんの手づくり品は、大切に使います。年長組はそれを洗って上手に絞ることも出来ます。カナダの学校では生徒が教室の掃除をすることはありませんが、日本の学校では机を拭いたりモップかけは当たり前でしたよね。

ゆとりある総合クラス
第1、第3土曜日の午後には6歳から13歳までの小学科対象の『総合クラス』があります。先生が生徒を教えるだけでなく、ここでは生徒が順番にリーダーとなって、自分で選んだ遊びやゲームの説明をして、クラスをリードしたりします。また『理想の町作り』など、プロジェクトを通して集団の中で日本語を学んでいきます。日本語の学習がちょっと負担になって小学科を離れた生徒には、こうしたゆとりのあるクラスでのびのびと日本語学習を続けていくのもいいのではないでしょうか。
また小学科の平日クラスに通いながら、この『総合クラス』に通っている生徒もいます。普段時間のない習字の練習や、グループ活動を通して上級生が下級生をリードするなど、教科書だけではない経験が出来るからです。こうした総合学習や、遊びや体験学習を通して自ら学び、学ぶことの楽しさを感じることも大切ですよね。
日本語学校は週1回ですから、どれだけ保護者のフォローアップがあるかが大切だといいます。子どもが小さい頃は、家庭で宿題を見てあげる保護者が多いようですが、中学年になるとそれも少なくなり、小学3年くらいから学差が出てくるそうです。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

ウエストポイントグレイ日本語クラス
4196 West 4th Avenue
Vancouver BC V6R 1K4
電話 604-254-8598

 

2009年10月15日発行#42に掲載

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