●チリも積もれば山となる
村上陽子先生が見せてくれたのは、学園が作成した『言葉ノート』。小学2年から高等科までの生徒が使っています。「漢字だけ覚えても意味がありません。 文章の中で使ってこそ、その意味がわかってきます」とおっしゃるように、毎日3つの漢字を練習しながら、その漢字を使って文章を書きます。新しい漢字だけ でなく、今まで習ったやさしい漢字も出てきます。この『言葉ノート』は父兄からも、毎日の習慣がついてよかったと大好評。小学科の卒業式では「1年間に 180、7年生までで1260の漢字を覚えました。苦しかったけれども、言葉ノートで漢字を勉強していなかったら、本が読めてなかったと思う」と生徒のひ とりがスピーチしました。
“継続は力なり”“チリも積もれば山となる”のことわざどおり、毎日少しずつの積み重ねが大切なんですね。ある家庭では毎朝学校へ行くまでの10分間に、本を読む習慣をつけ、これが役立ったそうです。

●新聞が読めるように
2003年に『文部科学省認定漢字検定試験会場』に認定されてから、年に2回この学校で試験が実施されています。この検定のいいところは、自分のレベル で受けられること。小学2年では10級が受けられます。小学6年の漢字を終了時点で5級を合格すると、90パーセント新聞が読めるという統計が出ていま す。受験料は級により30ドルから。合否通知に日本の全国平均との比較や、今後の勉強方法が書かれて戻ってくるのは、まるで通信添削のようです。
この試験には、筆順なども含まれていて問題形式もいろいろです。たとえば“長”という漢字の書き順。以前は横、縦、横、横と教えていたのが、今は縦、 横、横、横に変わっています。「漢字にはいろいろな読み方があります。漢字に対する関心が深くなると一層興味が湧いてくるんです」と手引書をまめに開いて 見せてくれる先生からは、漢字教育に対する情熱が伝わってきます。
ほかにも『日本語能力検定』を毎年受験しており、こちらの方は文字・語彙、聴解、読解・文法となっています。この試験については「生徒には、3、4級は 受けなくていいと言っています」。というのは学園に通う生徒のほとんどが3、4級合格間違いなしだからです。そのかわり目標は高く、中学科、高等科で1級 を目指しています。3、4級合格者にはBC州公立・私立学校の日本語単位取得が可能となるそうですから、やはり日本語学習は続けてほしいものですね。

●三者一体になって学習
宿題は毎日時間を決めて習慣づけること。家族・教師・生徒が三者一体になって学習することが大切だと言います。保護者が毎日一緒に座って宿題を見ること で、今何を勉強しているかがわかり、その漢字や言葉を使って会話すれば効果はもっと上がります。「宿題は1日でかたづけてしまおうとせず、子どもがもう少 しやりたくても“よく出来たね。また明日にしましょう”という区切りをつけるように提案しています」
幼稚園、低学年は日系ホームでの発表、中学科では日本からのお客さまにバンクーバーの案内をするという課題もあります。高等科では伝統文化に触れる時間があり、華道、茶道、お琴の手ほどきを受けたりし、みんなでワラぞうりを編んだこともあります。
「日本語学習は各自のペースに合わせるといいでしょう。同じ学年を2回やってもいいと思います」と聞いてなんだか安心しました。廊下に並んだ本棚にはマ ンガもたくさんあり、早く来てマンガを読む生徒も多いそうです。マンガを通して日本や日本語学習に興味を持つのも、ひとつの動機づけとなりますね。

(取材 ルイーズ阿久沢)

 

グラッドストーン日本語学園
6688 Southoaks Cres. Burnaby V5E 4M7
電話 604-515-0980

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2009年4月30日発行#18掲載

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