2016年8月11日 第33号

6月から7月中旬まで涼しい、というより寒い日の続いたウィスラー。7月下旬になりやっと夏らしい気候になってきた。ウィスラーの人気のひとつ、アルパインハイキングのコース全てがオープンしたのは7月下旬だった。

アルパインハイキングとは、ウィスラービレッジからゴンドラで森林限界までのぼって、山上だけで行う標高差の少ないハイキングコースのこと。ウィスラーの一番人気のアクティビティーだ。なかでも高山植物を見るのは大きな楽しみの一つ。そんな高山植物も7月下旬の本格的な雪解けから一気に花開き、ことしは8月が一番の見ごろになっている。

 

ウィスラー山のゴンドラ終点駅、ここまでのぼるだけでも絶景を楽しめる

 

アクティビティーが満載

 アルパインハイキングをする、MTB(マウンテンバイク)で山を下る、湖や川でカヌーを漕ぐ、湖に飛びこんで泳ぐ、公園や湖のほとりでBBQ、岩によじ登るロッククライミング、馬に乗る、ゴルフやテニスなどなど、アウトドアアクティビティーならなんでもできるウィスラー。さらに、水上飛行機やヘリコプターで空の散歩、バンジージャンプやジップトレックで空中遊泳など空のアクティビティーの人気も高い。また鳥の声に耳を澄ます、動物を見るなど自然を楽しむ静かなアクティビティーも今が旬。ちなみにウィスラーで一番よく見る野生動物はクマかもしれない。また、ゴンドラに乗って山に上がるとマーモットという動物もよく見かける。やることが多すぎて1日が24時間では足りないし、夏が短かすぎる感じだ。

 毎週日曜日と水曜日に行われているファーマーズマーケットも見逃せないし、週末にオリンピックプラザで行われる無料の野外コンサートも楽しみの一つだ。

 でも楽しみはそれだけではない。ことしの3月にオープンしたばかりのオデン美術館はまだまだ進化中。オープン当初は公開されていなかったエリアも公開され、より多くの作品を楽しめるようになっている。特に6月18日から9月11日まで行われている企画展は圧巻だ。

 この企画展は、2009年にカナダ東のビーバーブルック美術館50周年を記念して開始された展覧会で、ビーバーブルック美術館に所蔵される作品から75の作品が選ばれている。世界的に有名なクラナッハ、コブリー、ドラクロア、ゲインズバラ、コンスタブル、レイノルズ、ロムニ、サージェント、シスレー、ターナーやフロイトらの作品。またカナダ人アーティストのクリーゴフ、モリスやグループ・オブ・セブン、エミリー・カーの作品も展示されている。企画展のハイライトは、サルバドル・ダリの記念碑的な作品『サンティアゴ・エル・グランデ』。

 また、元々この地域に住んでいた先住民の文化センターもお勧めだ。海の民であるスコーミッシュ族と山の民であるリルエット族の出会いの場がウィスラー。この二つの民の文化の違いや、生活様式の違い、自然に根ざした共通認識などはとても興味深い。

 また、ウィスラーの街はギャラリーも多く、ギャラリーに飾られているローカルアーティストの絵や写真を見てまわるだけでも楽しい。

 カフェやレストランも多種多様で、食事を楽しむためだけに行っても良いかもしれない。

 

歩行者天国ウィスラー

 さらに根本的なことなのだが、ウィスラーのビレッジは散歩するだけで楽しくてアドベンチャーなのだ。ウィスラーの街づくりは、「ウィスラー山とブラッコム山という二つの山を楽しむためにはどんな街づくりをしたら良いのか?」というところから始まっている。

 1980年にウィスラービレッジの中心地が作られ、1990年代にビレッジノースができた。2000年以降にはオリンピックプラザなどもできた。その基本コンセプトは「自然」。ウィスラービレッジ内は基本的に歩行者天国。ビレッジストロールと呼ばれる歩行者専用の石畳の道は川の流れを模している。だからまっすぐではなく緩やかなカーブを描いて先の方が見えないようになっている。立ち並ぶ建物は色使いや高さなどに決まりがあり、街路樹と合わせてまるで森のよう。碁盤の目のような街づくりとは違ったコンセプトなので、街を歩いていても、まるで自然の中を歩いているかのようだ。緩やかなカーブを曲がったら次に何があるんだろう。川の流れには、エディーと呼ばれる淵がある。そんな淵のような場所は人が集まる広場になっている。そこでは大道芸人が音楽を奏でていたりする。  

 

 ウィスラーは行くだけでもアドベンチャーであり、癒される場所だ。ウィスラーで夏を満喫‼ ことしの夏も、まだまだ楽しいウィスラーに行ってみよう。

(取材 野口 英雄)

 

イベント情報
◉8月12日~8月21日:世界最大のマウテンバイクイベント:クランクワークス開催。    
マウンテンバイクの総本山ともいえるウィスラーを舞台にトップレベルのライダー集結。チーズローリングなど誰でも参加できるイベントもある。注目イベントは以下を参照。

8月13日:キッズワークス、クリテリウム ◆ ランバイクカテゴリーから本格的なカテゴリーまでキッズたちが熱い戦いを見せてくれる。
8月13日:デュアルスピード&スタイル ◆ 2台同時にスタートして、スピードとトリックを競う。
8月16日:ガルバンソーダウンヒル ◆ ガルバンソーエリアからスタートするテクニカルで長いダウンヒルレース。
8月16日:ダートダイアリー ◆ ウィスラーを舞台にしたマウンテンバイクのフィルムショー。
8月17日:エアーダウンヒル ◆ 走っている時間より飛んでいる時間が長いかもと思わせる、ジャンプの多いダウンヒルレース。
8月17日:ディープサマーフォトチャレンジ ◆ マウンテンバイクのフォトグラフショー。
8月18日:ウィップオフ・ワールドチャンピオンシップ ◆ ウィップオフ(飛んでバイクを横に振る)のスタイルを競う大会。
8月18日:パンプトラック ◆ パンプトラックと呼ばれるところでスピードとトリックを争う。
8月20日:カナディアンオープンダウンヒル ◆ ヘックルロックと呼ばれるところでの応援が見所。
8月20日:チーズローリング大会 ◆ 転がるチーズを追いかけて誰が早く駆け下りられるかを競う。
8月21日:ジョイライド ◆ マウンテンバイクのフリースタイル。バックフリップなど妙技を披露。
9月10日:グランフォンド~ ◆ バンクーバーからウィスラーまで走ってくる自転車のロードレース大会。
9月16日~18日:ウィスラービールフェスティバル ◆ いろいろなクラフトビールを楽しんじゃおう。
9月24日:マダレラウィスラー ◆ タフマダーレースの女性版。氷水、泥沼、火など様々な障害を超えるレース。
9月22日~26日:カナックストレーニングキャンプ ◆ ウィスラーのメドウパークにてカナックスのトレーニングキャンプが行われる。

いろいろな情報のウエブサイトはこちら
オデン美術館:http://audainartmuseum.com/
先住民文化センター:http://slcc.ca/
水上飛行機:バンクーバーとウィスラーの定期便あり。https://www.harbourair.com/
ウィスラー・ブラッコム公式HP: www.whistlerblackcomb.com
ウィスラーのHP:www.whistler.com/
BC州日本語HP:http://www.hellobc.jp/
現地でのアクティビティー日本語情報 Jステーションウィスラー:www.jtb.ca
ジャパナダ:www.japanada.com

 

アルパインハイキングで人気のハーモニーレイク(ウィスラー山)

 

マウンテンバイクのダートジャンプコース

 

マーモットもよく見かける

 

バンジージャンプに挑戦

 

オデン美術館の企画展より。中央の大きい絵がダリのサンティアゴ・エル・グランデ

 

ウィスラーファーマーズマーケット

 

先住民文化センター

 

ビレッジ内でストリートコンサート

 

湖でカヌーで遊ぶ

 

氷河を見ながらアルパインハイキング(ブラッコム山の上級者コース)

 

ウィスラー山山頂に立つイヌクシュク

 

読者の皆様へ

これまでバンクーバー新報をご愛読いただき、誠にありがとうございました。新聞発行は2020年4月をもちまして終了致しました。