SPECIAL 2008

2008年7月31日 第31号 掲載


Canada Pension Plan(CPP)
カナダ年金について



 前回紹介した老齢保障年金(OAS)(バンクーバー新報2008年5月22日号に掲載)に続いて、今回は年金を納めた人が受給できるカナダ年金(Canada Pension Plan:CPP)について紹介する。特に、受給方法や受給資格など、受け取りについて重点を置くが、あくまでも一般的な場合に限る。個々の状況に応じて、不明な点は直接サービスカナダに問い合わせてほしい。

カナダ年金(CPP)について
 カナダ年金は、老齢保障年金(OAS)、RRSPとならぶ、退職後、もしくは一定の年齢に達すると受給資格者が年金を受け取れる制度のひとつ。CPPの場合は、18歳以降に就労すると支払わなければならない政府の年金制度で、受給額は支払金額と期間によって決定される。

受給資格
●65歳以上、もしくは、60歳から64歳の間で法律の定める受給資格を満たす者。
●60歳から64歳で受給を希望する者は、以下のどちらかの条件を満たしていること。
 1.退職していること。前月末に退職すれば、退職した翌月から受給資格が発生する。
 例えば3月末で退職した場合は、4月から受給資格が発生する。4月半ばで退職した場合は、5月から受給資格が発生する。
 2.ひと月の給料が規定額以下であること。ひと月の給料が現在のCPP最高受給額以下になった場合に受給
 資格が発生する。2008年はひと月の最高受給額は884.58ドル。

 例えば、自分の給料が4月から最高受給額以下になった場合、5月から受給資格が発生する。逆に4月からこの制度により年金を受給したい場合は、3月から規定額以下の給料であることが必要となる。

※注意:60歳から64歳までの年金受給希望者は、申請書を提出しなければならない。もし、受給を希望するならば、上記のどちらかの条件を満たす状態にすれば、受給資格が発生し、申請することができる。
 さらに、受給資格が発生し、年金を受給し始めた後、また働くこともできる。この場合にも年金受給額に特に影響はない。ただし、年金を受給しながら働いた場合には、その間会社側が負担する年金支払い額を将来受け取ることはできない。

受給額
 受給額は、年金納入金額と期間を元に算出され、個々によって金額が異なる。また、退職する年齢によっても金額は変わってくる。毎年政府が発表する消費者物価指数に年金指数も発表されている。

受給開始年齢との受給額との関係
 受給開始は通常65歳の誕生日を迎える月に設定されている。65歳より前に受給する場合は、ひと月の受給額は65歳で受給する額に比べて少なくなり、65歳より後に受給する場合は、ひと月の受給額は多くなる。受給開始最高年齢は70歳である。

 受給額の調整は、65歳で受け取る金額を基準に、それより前であればひと月につき0.5パーセント減額、逆に後になればひと月につき0.5パーセント増額される。

 例えば、60歳で受給を始める場合、ひと月の受給額は65歳で受給できる金額の30パーセント減額となる。0.5パーセント×60カ月(5年)。逆に70歳で受給し始めるとすると、ひと月の受給額は30パーセント多くなる。

 ただし、受給時期を早めるということは、一般的には受給期間が長くなるということで、その逆も成立する。そのため、後になればなるほど多くの金額を受給できるということは一般的には言えない。

※注意:一度決められた受給金額はたとえ65歳を過ぎても変更されることはない。

 受給開始時期は、受給者が決定できる。その場合、以下のことを念頭に置いて、自分の状況などを考慮して決めるのが好ましい。

1. まだ収入があるかどうか。
2. それまでどのくらいの期間年金を納めているか。
3. 収入はどれくらいあったか。
4. 他に年金や老後の収入があるか。
5. 健康状態や自分の退職プランなど。

 受給開始時期を決定する前に自分の年金額がどれくらいになるかについては、CPP Statement of Contributionsを確認するか、サービスカナダに問い合わせると、おおよその金額がわかる。

受給申請方法について
 65歳になればそれまで年金を支払っている人は、自動的に受給資格が発生するが、受給するためには申請を行わなければならない。
時期:義務ではないものの、受給したいと思う月の半年(6カ月)前には申請した方がよい。
方法:規定の申請書に記入、郵送する。申請書はサービスカナダのホームページ(http://www.servicecanada.gc.ca/eforms/forms/2006/isp1000e.pdf)からダウンロードできるほか、Human Resource Centre of Canada各事務所でも配布している。郵送を希望する人は、1-800-277-9914 (トールフリー)に電話で申し込む。
 オンラインでも申請可能。オンライン申請は、以下のアドレスから。http://www.hrsdc.gc.ca/en/isp/common/rtrinfo.shtml

1958年以降に子供を持った人の場合
 出産もしくは7歳以下の子供の子育て期間、所得がなくなった、減ったという場合は、この期間を年金の計算から取り除くことができる。これを"Child rearing drop-out"対策と呼ぶ。つまり、年金納入額が減った期間を省くことで、年金の受取金額を少しでも多くするという制度。詳しくは、問い合わせが必要。

受給方法
受給開始時期:上述の通り
受給方法:毎月金融機関の月末からさかのぼって営業日の3日以内に指定金融機関に振り込まれる。

年金の共有
 配偶者、もしくは内縁関係にある相手と、2人の年金を共有できる制度。これにより減税などの待遇が受けられる。もし、配偶者もしくはパートナーに年金資格がない場合は、ひとりの年金を共有することができる。
 年金を共有するとは、2人が結婚、もしくは内縁関係になってから納入した分の年金を、受給するときに2人同額で受給できるというもの。受給金額は、2人がどのくらいの期間一緒にいるか、いくら年金を支払っているかによって決められる。

 例えば、結婚して20年、2人がそれぞれ年金を支払った期間も同じ20年だとすると、それぞれが受給できる20年分の年金を足して、それを2等分した金額をそれぞれが受け取ることができる。さらに、お互いが結婚する前に支払った分に相当する年金受給額もそれに足して個別に受け取ることができる。

 ただし、このシステムを使っても、2人の年金総受給額が増額、減額することはない。上記したように減税などの対策に利用できるということである。

 年金の共有は申請しなければ行われない。申請が認められれば、すぐに開始される。ただし、このシステムは他と違って、過去に遡っては認められないので、希望する場合は早めにサービスカナダに連絡する。どちらか一方が申請すればよい。

カナダ以外の国で働いた場合
 カナダ政府は他の多くの国々と国際社会安全協定を結んでいる。その中で、これらの国々との間では、年金受給に関しても受給者にとって利用できる取り決めがある。日本とは、2008年3月1日からこの協定が施行された。

 この制度では、日本で何年か働くか生活していたが、日本の年金制度ではその間の受給資格が発生しないものの、その期間をカナダの受給資格として追加することができる可能性はあるというものである。

 例えば、2年ほど日本で働いている間日本政府に年金を納めていた。その後、カナダで働き、カナダで年金受給資格を得ることができた。この場合、申請すれば日本で働いていた2年間分の年金支払い分も、カナダでの受給資格に組み込むことができる可能性がある。

 一方、カナダで働いて年金を納めていたため、日本での年金受給資格に年数(最低納入年数は25年)が足りない場合は、カナダで年金を納めていた期間を申請すれば、その期間を日本の年金納入年数に組み込むことができる可能性もある。この場合は、日本政府厚生労働省に問い合わせする必要がある。

 また、カナダと日本の両国で年金受給資格を得られる場合もある。日本の受給資格を満たし、なおかつカナダでも受給資格がある場合は、どちらかではなく、両方から受給することができる。

 こうした経験を持つ人は、サービスカナダに直接問い合わせを。

 以上が、基本的なカナダ年金制度についての概要である。年金の受け取りは個人によってかなり異なるので、不明な点は必ず直接サービスカナダに問い合わせを。

(取材 三島直美)

 

問い合せ先

CPPについての一般的な質問
電話(トールフリー):1-800-277-9914
月曜から金曜8:30am〜4:30pm(SINが必要)

ダウンタウンにあるサービスカナダオフィス
Sinclair Centre, Suite 415
757 Hastings Street West
Vancouver, British Columbia
V6C1A1

その他ブリティッシュ・コロンビア州のサービスカナダオフィス住所一覧は以下のアドレスから検索できる
http://www1.servicecanada.gc.ca/en/gateways/where_you_live/regions/offices/bc.shtml

国際社会安全協定についての電話での問い合わせ
オタワ:1-613-957-1954
トールフリー:1-800-454-8731