SPECIAL 2008
2008年6月5日 第23号 掲載
![]() 写真向かって左から、阿久根ロイさん、糸子さん、森下エルマーさん |
![]() スティーブストン仏教会 |
![]() 東西融合のデザインとなっているお堂 |
![]() 5年前の75周年記念の写真 |
![]() 幼稚園を改装してお寺としていた頃(1956年) |
![]() 現在のお寺のお堂の建設中の様子 |
![]() 日曜学校に集まった大勢の子どもたち(1935年) |
大きなお寺の建物の向こうに青々とした芝生が広がっている。ここもスティーブストン仏教会の敷地だという。「毎日のようにシニアの人たちが来てはゲートボールを楽しんでいますよ」と教えてくださるのは当会の世話役として活動している阿久根ロイさん。ロイさんと奥様の糸子さんは、このお寺で育ったと言っても良いかもしれない。家族中が熱心な門徒(浄土真宗の信徒)で、お寺とは子どもの頃から自然と関わりをもっていったというロイさん。糸子さんは放課後の安全な居場所としてお寺に来ていたことが始まりだ。そうしたお二人に80年の当会の歩みや今年の特別企画を伺った。
ーこれまでのスティーブストン仏教会の歩みを大まかにご紹介いただけますか?
ロイさん スティーブストン仏教会は1928年9月にモンクトンストリートとファーストアベニューのスティーバシアターという場所で始めました。戦時下の強制移送で門徒は皆、アルバータ州をはじめ、その他の州のあちこちに散らばってしまいましたが、1949年にスティーブストンに戻ってきてからは、1952年にレッド・クロス・ホールを借りて、法要などの行事を再開しました。
その頃は、生田真成(いくたしんじょう)先生がBC州で唯一の開教使で、彼がバンクーバー、ケローナ、カムループス、スティーブストンの4つの仏教会を回っていたんです。そのため法事もカレンダー通りでなく、生田先生の予定に合わせて行っていました。
戦争中は岸さんという方が仏教会のお金を預かってくださっていましてね。そのお金を引き取るために、雪の降りしきるなか、父の運転する車に乗って、遠く岸さんの住むアルバータ州のクリスティーナレイクまで行ったことを覚えています。そうした資金を元に、54年にナンバーワン・ロードにあった日系の幼稚園だったチャートン幼稚園を買い取り、集会の場としたのです。
58年にはBC州で開教使が3人となり、当会には生田先生に引き続き来ていただきました。59年頃には日本とカナダでの生活経験を持つ生田先生の息子さんが補助の開教使としてバンクーバーとスティーブストンの両方を受け持つ形になったんです。
ーではこのお寺はいつ建設されたのですか?
ロイさん 60年代に入って、お寺を建てたいという話が持ち上がりましてね。それが今のこのお寺ですが、場所が遠いと言って、辞めていく人たちも何人もいました。車などあまり持っていない時代でしたからね。
それでも父が中心となって募金集めに走り回り、5エーカーの土地を購入しました。当時は門徒の世帯数は200くらいだったと思います。
設計は、ドイツ人で日本に渡って仏教を学び、僧侶にまでなったという方の息子さんであるアルノーフ・ベッツァルト氏に依頼をしました。そのためこのお寺は東洋と西洋的な要素があるんです。
この土地は今よりもっと広かったんですよ。リッチモンド市が公園を作るというので、今の駐車場部分の土地を市からもらい、南側の土地を市に譲るという交換を行って今の状態があります。
ーお二人は子どもの頃、どのような形で仏教会にかかわっていたのですか?
糸子さん 私は仏教会のなかでの日曜学校(ダルマ・スクール)、そのほかの活動で、学校のない時間の居場所のようになっていました。64年頃、日曜学校に通っていた子どもたちは100人を超えていましたね。ここでは日本語教室や草月流の生け花のクラス、そして体育館を作ってバスケットのクラスなども行っていたんですよ。娯楽のない時代でしたから、ここが社交の場であり、学びの場でもあったわけです。
私などは両親が家にいないことが多かったので、ここが安心して子どもを置いておける場所だったんでしょうね。私の周りにはそうした人が多かったのです。当時は14、5才の子どもたちの少年団がありまして、敬老の会のときには食べ物を作って出していたんですよ。今は買った弁当になりましたけどね。現在、日曜日にはカラオケサークルがありますし、太鼓はグループ活動を始めて8年になります。
ーこれだけ立派な場所を維持していくのは大変かと思いますが、その点はどうですか?
ロイさん 65年から資金集めのためのビンゴを始めていましてね。企画時には反対も多かったですが、資金源としては大きな役割を担っています。
ー会員の数の方はいかがですか?
ロイさん バンクーバー仏教会が370人、スティーブストン仏教会では350人の門徒がおります。80才代以上がかなりの割合を占めていますので、活動を支えていく人間の数の点は、どこの宗教でも言えるかと思いますが、難しい問題です。
ー80周年の特別な行事の予定をお聞かせください。
ロイさん 既に始まっているのですが、「ウエストコースト浄土真宗仏教会2008年レクチャーシリーズ」という一連の講演会があります。4月に2回、米国の開教使の先生を招いて講演会を開催しました。これから10月が一番大きな企画になりますが、7月にも講演会を行います。(*枠内参照のこと)。
こうしたプロジェクトがあると、みんなの思いが集まるんです。そうした企画がないと人は集まりにくいものです。種をまき、水をやるようにしてこの会を育てていくことが大事だと思っています。
* * *
親から子へと引き継がれて、スティーブストン仏教会を支えてきたメンバーの一人、阿久根ロイさん。そのロイさんから、今年3月に当仏教会を去られた釋氏真澄開教使に代わり、8月に来る新たな開教使は、当会の創成期の開教使・生田真成氏の孫に当たる人だと伺った。三世代目の開教使の着任は、80周年という時の流れを象徴する出来事のようだ。
スティーブストン仏教会80周年記念行事
ウエストコースト浄土真宗仏教会 2008年レクチャーシリーズ 会場: Steveston Buddhist Temple 4360 Garry St, Richmond, BC V7E 2V2 Tel:604-277-2323 ウェブ:www.stb.shawbiz.ca 7月5日(土)初心者向け仏教講義(2) 10月25日(土)初心者向け仏教講義(3) |
(取材 平野香利、写真提供 スティーブストン仏教会)