MAPLE 2008

2008年8月7日 第32号 掲載
 

ワイナリーでテイスティングを楽しむ休日
  in バンクーバーアイランド


 ふんだんに降り注ぐ太陽、雨、風、そして海。
変化に富んだ豊かな自然を持つバンクーバーアイランドは、その肥沃な 大地から良質の葡萄が育つゆえ、ワイナリーがあちこちに点在する。ナナイモとビクトリアのほぼ中間に位置するカウチンバレー(Cowichan Valley)の近辺にも、10カ所のワイナリーがある。その中で、小さいながらもナチュラルなものを大切につくっているワイナリー、ベンチュリー・シュエルツ (Venturi-Schulze Vineyards)を紹介しよう。



いい土のエネルギーがいい根を育てる

 

自然の雨水だけで育てる


 ナナイモからビクトリア方向に60キロ、ハイウェイ1を車で走ること30分弱で、ベンチュリー・シュエルツへ到着。コブル・ヒルというなだらかな丘陵の静かな場所にあるこのワイナリーは、ジオダーノ、マリリン夫婦と娘のミッシェルの3人を中心にした家族経営である。

 早速マリリンに葡萄畑を案内してもらう。畑を見ると、葡萄の木の周りにかわいらしいピンクの花が咲いている。花や草は、冬になると葡萄を寒さから守ってくれるプロテクターの役割をすると言う。

 「うちでは散水をせず、自然の雨水だけで葡萄を育ててるの。もちろん、ノーケミカル。除草剤や殺虫剤の類は一切使わないわ。いい土のエネルギーがいい根を育てるの」とマリリン。

 

濃厚な味わいのバルサミコ酢


 続いてビネガーの醸造小屋へ。一歩入るなり、ほんのり甘くて酸っぱい香りが漂ってきた。そう、ここベンチュリー・シュエルツは、ワインだけでなく、ビネガーも作っているのだ。アカシア、アッシュ、桜、オーク、栗の5種類の木の樽を開けると、それぞれに違った香りが立ち上ってくる。


ほんのり甘くて酸っぱい香りが漂うビネガーの醸造小屋。マリリンから説明を聞く

 

1970年に造られたものをマザーと呼び、これが38年の歴史を感じさせる濃厚な味わい。それをスターターとして使い、醸造しているので、どのボトルにもマザーの雫が入っているというわけだ。そのバルサミコ酢のボトルに、地元のアーティストが野の花をペイントしたボトルがかわいらしい。バルサミコ酢造りは、3世代かかると言われるくらい、長い年月を要するビジネスなのだそうだ。


野の花がペイントされたバルサミコ酢は250ml、1本64ドル。ペイントなしで49ドル


 

至福のテイスティングタイム


 さて、お楽しみのテイスティングタイムが始まった。いたるところに木をあしらったシュエルツ家のダイニングルームは、初めて来たという気がしないくらい居心地がいい。リラックスした雰囲気の中、まずはスパークリングワイン、2005年のBrut Naturelを。なんと澄んだ味わいだろう。気泡が細かく、のどごし抜群だ。いきなり最初から感動。聞けば、安いスパークリングワインは最初から泡を入れるのだが、ここのスパークリングワインは、昔ながらのボトル発酵を行っている。ボトル32.10ドル。これはお祝いのときに開けたいワインだ。


昔ながらのボトル発酵で大切に作られたスパークリングワイン。気泡が細かい

 

 次は、2006年のEstremi。花の香りが楽しめる、ドライな白ワインだ。シーフードとの相性が良さそう。値段も18.60ドルとお手ごろ価格。続くは、赤のドライ、2006年のRosso Di Collina(36ドル)。これはピルノワールとオーストリアのZweigeltという葡萄を半々で作ったもの。評論家風に述べるなら、“口に含むとうま味が何層にも広がって、すーっとまるくおさまっていく”というような感覚だ。地元のアルチザンが作ったチーズとともに味わう。


作り手と交わす会話にこそ、テイスティングの醍醐味はある

 

 

作り手と交わす会話こそ、テイスティングの醍醐味


 さらに、バルサミコ酢とオリーブオイルと塩だけのドレッシングで食べる野菜の美味しいこと。それぞれの素材のよさが引き合い、シンプルながらインパクトは十分。最後を締めくくるのは、リッチでスウィートな味わいの2006年Brandenburg No.3(35.60ドル)。フォアグラとの相性が最高だとか。

 イタリア出身のジオダーノとオーストラリア出身のマリリン。ふたりはカナダで出会い、3日間を過ごしたこのカウチンバレーに惚れ込み、2カ月後にはこのファームを買ったと言う。アーティストのジオダーノとUBCで微生物学を学んだ科学者のマリリンは、互いの見地からワイン造りでぶつかることも時々あるが、「それでもいいワインを造りたいという情熱の深さは同じ」と笑顔で語ってくれた。ただワインを飲むのでなく、作り手から直接そういう話を聞けるというのも、テイスティングの醍醐味だろう。


シュエルツ家の主、ジオダーノ


 かくして、シュエルツファミリーと会話を楽しみつつ、ジオダーノのスペシャルセレクトのテイスティングは大満足で終わった。ホーシューベイから約2時間半なので、日帰りでも楽しめるが、ゆっくりしたいなら、近くのB&Bに泊まるのもいいだろう。ベンチュリー・シュエルツのワインは、バンクーバーのレストランでも人気が高く、Cレストランやベアフットビストロ、亀井ロイヤルやTojo'sなどでも楽しめる。

(取材 西澤律子)

 


静かなたたずまいのシュエルツ家

■ベンチュリー・シュエルツ
 (Venturi-Schulze Vineyards)

住所:4235 Vineyard Road,
Cobble Hill, BC V0R 1L5
電話:250-743-5630
Web: http://www.venturischulze.com/

 


※テイスティングは、下記の2種類。
どちらも予約が必要だ。

●ウィークエンド・テイスティング
7月〜8月の土日、午前11時から夕方の4時まで。1人につき5ドル。畑の仕事の都合で、やっていないときもあるので、どの週末がテイスティング可能かなど詳しい情報は、ウェブサイトを参考に。

●グループ・テイスティング
友達や家族、会社の同僚とグループを組んでのテイスティングも楽しい。ワンボトルの量により、多くて16人くらいまで。テイスティングは、シュルエツファミリーとともにテーブルで、選りすぐられたワインに、ローカルの美味しいチーズやオーガニックのパンやバルサミコ酢(リクエスト要)が楽しめる。ワイナリー内のツアー&テイスティングの所要時間は約2時間。テイスティング料金は、試飲したワインの金額による。8月末か9月から、10月半ばにかけてのブドウの収穫期には行っていない。


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