MAPLE 2008

2008年5月29日 第22号 掲載
 

太陽とアクティビティがいっぱい!
初夏こそ楽しいカムループス

 


鉄道ファンなら見逃せない蒸気機関車ツアー
 

 バンクーバーから東へ約300キロ。カムループスはブリティッシュ・コロンビア(BC)州の内陸部で一番活気のある街だ。しかし、市内やその周辺にはパルプや製材関係の工場が点在し、あまり観光地としては知られていない。せいぜい、オカナガン地方への“玄関口”とか、ロッキーへのドライブ旅行の中継点と思っている人も多いのではないだろうか。ところが、実際にカムループスを訪れてみると、フライフィッシングからゴルフ、レトロな蒸気機関車の旅、そして朝鮮人参を使ったユニークなスパまで、変化に富んだアクティビティが用意されていて、数日の滞在では足りないほどだ。5月下旬から6月にかけては、特にお勧めのシーズン。明るい太陽とすっきりと乾いた風、真っ青な空が待っている!

 

 

一押しは蒸気機関車

 

 2141号蒸気機関車は、20世紀初頭の鉄道の黄金時代を象徴する機関車の一つ。そのパワフルでしかも優雅な雰囲気には、熱狂的な鉄道ファンでなくても不思議な懐かしさを感じることだろう。この2141号でカムループスの街の周辺をぐるりと回る蒸気機関車ツアーがある。

 カムループスは1920年代から現在まで、BC州内陸部の鉄道輸送の中心地。この蒸気機関車ツアーは、1927年に建てられた駅舎から出発し、およそ1時間余りの旅だ。出発は夕方の7時(土曜、日曜には11時発もある)なので、傾きかけた太陽に輝く川や美しい教会、丘陵地帯などを眺めながら、ゆったりとカムループスの街の様子を楽しむことができる。オープンデッキの車両もあるので、乗車中に機関車の写真を思う存分撮れるのもうれしい。


蒸気機関車のツアーで途中下車ポイントとなる、セント・ジョセフ教会


 もっとたっぷりとレトロな蒸気機関車の旅に浸ってみたいなら、6月7日、9月6日、10月4日に行われる、アームストロングへのツアーがお薦めだ。これはカムループスからアームストロングまで往復182キロ、穏やかな田園地帯、なだらかな丘陵地帯、美しい川や湖のそばをレトロな2141号蒸気機関車で走り続ける9時間の旅だ。2キロ近くも続く馬蹄形の大きなカーブや3キロ以上も続く長い上り坂やトンネルなど、蒸気機関車のファンなら一生忘れることのできない体験になるはずだ。この特別ツアーは毎年非常に人気があるので、早めに申し込むと良いだろう。


19世紀の建物も残されているカムループスのダウンタウン


 

先住民の知恵と歴史を学ぶ


 カムループスは、ファーストネーション(先住民)のセクウェップム(シューシュワップ)族の言葉で「水の集まる所」という意味。トムプソン川やカムループス湖などが出会い、先住民の交易の場でもあった。現在も、カムループスの周辺には3000人ほどのセクウェップム族の人びとが暮らしている。その豊かな歴史や知恵を学ぶことができるのが、セクウェップム博物館だ。広大な敷地には1キロ以上も続く遊歩道が作られており、2000年以上も前の住居跡の発掘現場から、食料や医薬品として用いていた植物、伝統的な冬用の住居を再現したものまで、セクウェップム族の人びとの暮らしや文化を体感しながら歩くことができるようになっている。

また展示室には、狩猟に使われていた伝統的な道具から工芸品などの歴史的資料が集められている。特に、先住民の人びとがヨーロッパ人が持ち込んだ病気によって壊滅的打撃を受けたことや、カナダ政府の同化政策によって自らの言語や文化が危機に陥ったことなども詳しく解説されており、その悲劇的な状況から立ち直るための努力を物語る展示には、深く心打たれることだろう。


猛禽類の特性をわかりやすく解説する飼育係





オパールの埋蔵量は世界一?!


 実は、カムループス周辺は化石や水晶などの発掘で“知る人ぞ知る”名所だ。特にマカビー・フォッサイルベッドと呼ばれるエリアには、500万年以上前の植物の化石がゴロゴロ!また、サボーナ山の周辺ではオパールの原石を掘り出すこともできる。オパールといえばオーストラリアが有名だが、実はカムループス周辺に埋蔵されているオパールは量的には世界一ではないかと言われているほど。オパールは簡単な道具で掘り出すことができるうえに、研磨すれば水色、緑、黄色とカラフルな色合いに仕上がるのもうれしい。もちろん、どこでも掘れば化石や宝石が見つかるわけではない。経験豊富なガイドが案内してくれるツアーに入るのがお勧めだ。子供のいる家族向けのツアーが多いが、最後に夢中になるのは結局大人の方らしい。

 大人の方が楽しんでしまうと言えば、BCワイルドライフ・パークも見逃せない。ここには、グリズリー(灰色熊)からコヨーテ、猛禽類まで、BC州各地に生息する野生動物が60種以上も集められており、この州の大自然の奥深さに触れることができる。動物園としては規模も小さく、展示の仕方も“素朴”。しかし、園内を巡るうちに、「野生動物と人間がどうやって共存して行くのか」ということや、「野生動物の保護のために人間のすべきことなど」を自然に考えさせてくれる。猛禽類のトレーニングの様子や餌やりなどを体験できるのも楽しい。


大きなオパールの原石が見つかるかも?!




北米唯一のジンセン・スパで癒される


 さまざまな薬効があると言われる朝鮮人参だが、実はカナダでも栽培されている。この朝鮮人参はアジアで栽培されているものとは種類が異なるが、効き目はかなりあるらしい。このカナダ産の朝鮮人参のエッセンスを使った、ユニークなスパがカムループスにある。カムループスの街を見下ろす丘の中腹にあるサンモア・ジンセン・スパは、オリエンタル風のぜいたくな雰囲気。トリートメントの行われる部屋もかなり広めの設計で、一つ一つデザインが異なっている。デトックス・マッサージからフェイシャル、髪の毛のパックやリフレクソロジーまで、トリートメントの種類も多く、ゆったりと数時間過ごす人が多いとか。カップルでトリートメントが受けられる部屋も人気だ。


ゴージャスな雰囲気のサンモア・ジンセン・スパ



 また、心の癒しならアートに触れるのもお勧め。意欲的な企画展で知られるカムループス美術館は、天井も高く、ゆったりとしたスペースで、現代美術の鑑賞には理想的な環境だ。6月8日から8月31日までは、オンタリオ州のマニトーリン島出身の先住民アーティスト、ダフィニー・オジックの作品の特別展が催される。アルゴンキン族の工芸的伝統を生かした、オジックのユニークな視点と鮮やかな色彩は、「ピカソの芸術的祖母」と言われているほど。彼女の代表作、60点余りが集められており、その温かみに満ちた、迫力のある絵に触れることができるだろう。。


広々としたカムループス美術館


 

数日過ごすならゴルフやフィッシング



カムループスはゴルフのメッカとしても有名


 年間2000時間以上も日照時間があるというカムループスは、ゴルフのメッカとしても有名。丘陵地帯や川、湖など、変化に富んだ地形を利用したコース設計と、気軽に楽しめる雰囲気が特徴だ。また、スポーツといえばフライフィッシングも人気がある。街から1時間の範囲に釣りのできる川や湖が100以上あり、人影の少ない場所でゆっくり釣りを楽しむことができる。お目当てはカムループス・レインボーと呼ばれる鱒。両手で抱えなければならないほどの大物が釣れることも珍しくないとのことで、北米の釣り人にはかなり有名らしい。この他にも、ハイキングや乗馬、急流下りのラフティングなど、アウトドア・スポーツの選択の幅は非常に広い。中でも、スキー場として有名なサンピークスは、夏になるとカラフルな野草の花畑となり、そこでのハイキングは「天国を歩くよう!」と大人気だ。

 カムループスは、宿泊施設もレストランも手頃な値段で合格レベルな所が多く、家族や友達のグループ旅行の目的地としてもお勧めできる。バンクーバーからなら、3泊4日で計画するのがベストだろう。

(取材 宮田麻未/写真 神尾明朗)


●インフォメーション●
化石やオパール収集ツアー 
カムループス・ロックワークス
電話:250-851-5293
ウェブ:www.kamloopsrockworx.com/

蒸気機関車ツアー
カムループス・ヘリテージ鉄道
電話:250-374-2141
ウェブ:www.kamrail.com/

スパ
サンモア・ジンセン・スパ
電話:250-372-2814
ウェブ:www.sunmoreginseng.com/spa/

動物園
BCワイルドライフ・パーク
電話:250-573-3242
ウェブ:www.bczoo.org/

セクウェップム博物館
電話:250-828-9779
ウェブ:www.secwepemc.org/museum

カムループス美術館
電話:250-377-2400
ウェブ:www.kag.bc.ca/